発生のしくみを人工遺伝子回路で再構成する
日時
2018年1月30日(火)15:00〜16:30
場所
理学部3号館305号室
講師
戎家 美紀氏(理化学研究所 生命システム研究センター)
概要
私達は、培養細胞上に人工的な遺伝子回路を作ることで、発生現象を再現しようとしています。実際に作ることでこれまでの仮説を検証したり新たな発見を狙っています。具体的には、自発的な細胞分化、細胞パターン形成、同調振動、組織の変形などの再構成に挑戦しており、そういった取り組みを紹介します。
開催報告
理化学研究所生命システムセンターの戎家美紀さんに来ていただき、「発生のしくみを人工遺伝子回路で再構成する」というタイトルで講演していただきました。2000年に発表されたRepressilatorは、人工的に一つの細胞内の遺伝子制御ネットワークを構成し、細胞の振動状態を作り出した研究で、構成的生物学という分野が始まったきっかけの一つです。その後の発展として、自発的に遺伝情報を増やしそれを分配して複製する「人工細胞」など、この分野の研究の発展を視覚的にわかりやすく説明していただきました。これを踏まえた次のステップとして、ご自身の研究である、Delta-Notchを用いた人工的な細胞間相互作用を導入して、細胞集団を分化させるという研究を紹介していただきました。また、未だ達成されていない、人工的遺伝子制御ネットワークとそこから導入される細胞間相互作用によって、Turing パターンの構成に挑む研究も紹介していただきました。発生学、分子生物学や数理系の研究者から常に様々な質問が飛び交う中、それぞれに戎家さんが的確に説明をしていただき、貴重で有意義な交流となりました。(文責 太田洋輝)